なぜ「退職をいつ伝えるか」が重要なのか
患者ケア・シフト・職場の信頼に与える影響

看護師が退職を伝えるタイミングは、職場全体の流れに直結します。
急な退職は、患者ケアの継続性やチームワークに影響を及ぼします。
とくに病棟勤務では、シフトの再調整や引き継ぎ内容が多く、1人の退職で現場が混乱します。
逆に、余裕をもって伝えることで上司や同僚への信頼感が高まり、円満に送り出してもらえることが多いです。
「どんな辞め方をするか」は、意外と長く印象に残るもの。転職先での評判にも関わる可能性があるため、慎重にタイミングを見極めることが大切です。
就業規則と法律(民法上の退職時期の扱い)
法律上は退職したい日の前2週間に退職する旨を職場に伝えればよいことになっています。
正社員などの無期雇用契約の場合は、基本的に2週間前に退職意思を告げれば退職が可能です。
出典:e-Gov法令検索「民法第627条1」
・シフト調整のことを考えると他のスタッフに迷惑をかけてしまう
・有休消化できず、買い取ってもらえれないのであれば有休を捨ててしまうことになる
2週間前に伝えて辞めるというのはあまり現実的ではありません。
ベストな伝え時(結論)
おすすめは「2〜3か月前」その理由

様々なサイトで調べて情報をまとめてグラフにしてみました。約6割の人が「2〜3ヶ月前」に伝えているようです。
マイナビ看護師によると、看護師の退職は2〜3か月前に伝えるのが理想的とのことでした。
理由は次の3つです。
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引き継ぎが十分に行える
→患者情報や業務の流れを次の担当者に丁寧に伝えられる。 -
後任の採用・育成に余裕が持てる
→人手不足の職場では、後任確保まで時間がかかることも。 -
シフト調整がスムーズに進む
→急な欠員を防ぎ、残るスタッフの負担を軽減できる。
早めに伝えることで、職場の信頼を保ちながら円満退職が実現しやすくなります。
1か月前に伝えるケースと注意点
一方で、転職先の入職日が決まっている場合など、1か月前に申し出るケースもあります。
法的には問題ありませんが、病棟やクリニックによっては「急すぎる」と感じられることも。

マイナビ看護師では、
「就業規則に『1か月前』と記載されている職場も多いため、必ず確認を」
と注意喚起しています。
💡ポイント:
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まず就業規則をチェック
-
シフト作成時期に重ならないよう、申し出のタイミングを考える
-
できれば「引き継ぎ計画」も一緒に提案すると印象が良い
現場の実際データ — アンケート結果から見る傾向
看護roo! の投票結果(3,047票)要約 — 「3か月前が最多47%」など
看護師コミュニティサイト「看護roo!」のアンケート(3,047票)によると、
「退職を申し出るのは3か月前くらい」という回答が**47%**で最多。
次いで「2か月前」が28%、「1か月前」が11%という結果になりました。
つまり、約7割以上が2〜3か月前に伝えていることが分かります。
現場でも「2か月前が妥当」という認識が一般的といえそうです。
職場の規模・人手状況で変わる事情
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大規模病院:部署異動や補充がしやすく、2か月前でも十分対応可能。
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中小病院・クリニック:後任採用が難しく、3か月以上前に伝えると円滑。
-
訪問看護や介護施設:担当利用者との関係もあり、引き継ぎ期間を長めに確保すると安心。
職場ごとの事情を考慮して、**「上司に相談→正式な申し出」**の順で進めるのがベストです。
具体的な伝え方(ステップ&例文)
まずは直属の上司に口頭で伝える

ステップ①:まずは直属の上司に相談する
最初に話すのは「看護師長」や「リーダー看護師」など、直属の上司です。
人事や他の同僚より先に伝えるのがマナー。
話すタイミング
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勤務後や休憩前後など、落ち着いて話せる時間を選ぶ
-
バタバタした勤務中は避ける
例文
「お忙しいところすみません。少しお時間をいただきたいのですが、今後の働き方についてご相談したいことがあります。」
※いきなり「辞めます!」と言うより、「相談」という形で切り出すとスムーズです。
ステップ②:退職の意思を正式に伝える
相談の場で引き止めがなければ、正式に意思を伝えます。
感情的にならず、**感謝の言葉+退職理由(前向きに)**を添えましょう。
例文
「〇月末で退職させていただきたいと思っています。これまでたくさん学ばせていただき、本当に感謝しています。今後は自分のスキルを広げるため、別の環境で挑戦したいと考えています。」
📌ポイント
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「人間関係がつらい」などネガティブ理由は避けておく
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「キャリアアップ」「家庭との両立」など前向きな理由に言い換えて
嘘でも大丈夫です。とりあえず、印象よく話を進めるためにポジティブな理由での退職と説明しましょう。
退職願・退職届のタイミングと書き方

にまとめているのでそちらを参考にしてください。
退職時に忘れがちなチェックリスト
有給休暇の扱い(消化・買い取り・スケジュール)、残日数の確認
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残っている有休は、退職前に使える権利があります(労働基準法第39条)
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消化スケジュールは早めに上司と相談しないと使えなくなることも
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買い取りは基本的に義務ではないため、可能かどうかは病院ごとに確認しましょう
☑ 有給残日数を確認
☑ 消化スケジュールを上司と調整
☑ 必要に応じて診療やシフトと重ならないよう調整
健康保険・年金・雇用保険の手続き、源泉徴収票の受け取り
退職後は保険の切り替えや、雇用保険(失業手当)関連の手続きが必要です。
退職日が近づいたら、総務や人事担当に確認しておきましょう。
☑ 健康保険証を返却した
☑ 年金手帳を確認(次の職場で使用)
☑ 雇用保険被保険者証の受け取り
☑ 源泉徴収票を受け取る(翌年の確定申告・年末調整で必要)
📌転職先が決まっていない場合
→ ハローワークで「失業給付の手続き」を早めに(退職日の翌日から手続き可能)
「失業給付の手続き」については、今後まとめる予定です。
貸与物・資格証・シフト引き継ぎノートの整理
病院から貸与されているものは、忘れずに返却します。
小物ほど紛失しやすいのでリスト化しておくと◎。
☑ ナース服・名札・IDカード
☑ ロッカー鍵・バインダー・記録用PC
☑ 看護師免許証のコピー(人事に提出していた場合)
☑ シフト引き継ぎノート・担当患者のメモ整理
↓他にもチェックするといいものをリストアップしておきます
☑ ケアの注意点や申し送り内容を引き継いだ
☑ 業務マニュアルや記録を整え
☑ 挨拶メール・メッセージカードを準備
☑ 更衣室ロッカーを空にした
実際の体験談・よくあるQ&A
いつ伝えた?(コメント募集)
私は、退職の2ヶ月前に伝えました。病棟の師長や上司、同僚は快く退職の意向を受け入れてくれました。「戦力が減るのは悲しいけど、やりたいことがあるなら辞めるべき」そう言ってもらえました。師長からは、有休は全て消化できないこと謝罪がありました。(買取もなかったです…)
看護部長や総務からは、退職願を突き返されたりいろいろありましたが…
✉️私はこうでした等、退職経験のある方のお話聞きたいです!
トラブル事例と回避方法
事例①:伝えるタイミングが遅く、シフト混乱&険悪ムードに…
体験談
「人手不足の中で言い出せず、退職の1か月前に伝えました。
そしたら『今さら!?』と責められ、結局有休もほとんど取れずにバタバタ退職…。
最後の数週間はすごく気まずかったです。」
(30代・病棟勤務)
回避ポイント
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遅くとも2〜3か月前に相談をスタート
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直属の上司に早めに意向を共有し、「引き継ぎスケジュール」を一緒に立てる
-
退職の意思を固めたら、「転職先が決まっていなくても」まず相談を
「言い出しづらいから後回し」より、「早めに伝えて調整の時間を取る」が結果的に円満退職に。
事例②:上司に引き止められて辞めづらくなる
体験談
「師長に『あなたがいないと困る』と言われて情に流され、結局退職が3か月延びました。
でも気持ちは変わらず、途中でまた伝えるのが本当にストレスでした。」
(20代・クリニック勤務)
回避ポイント
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「気持ちは変わりません」と明確に伝える
-
理由は“前向き”に(例:「スキルアップのため」「家庭との両立を見直すため」など)
-
曖昧な言い方(「考え中」「まだ迷っていて」)は避ける
💡例文
「ご心配ありがとうございます。でも、気持ちは変わりません。
今回は新しい環境で挑戦したいと思っています。」
事例③:退職届を出したのに「受理されない」と言われた
体験談
「退職願を出したら『後任が決まってから』と受け取ってもらえず…。
結局ズルズル働かされてしまいました。」
(40代・急性期病棟)
回避ポイント
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法的には、民法627条により「退職の2週間前に申し出れば退職できる」
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ただし、病院の就業規則では「1〜3か月前に申し出」となっていることも多い
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まずは規則を確認し、書面で正式に提出+控えを保管
どうしても受理されない場合は、内容証明で退職届を送る方法も(最終手段)。
→ ただし円満退職を目指すなら、まずは上司・人事に冷静に相談。
事例④:有休を消化できずに退職
体験談
「退職直前に『人手が足りないから使えない』と言われて、
結局10日も残したまま辞めました…。」
(30代・夜勤専従)
回避ポイント
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有休は労働者の権利(拒否できない)
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退職日の1か月以上前に消化スケジュールを提示
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「誰にどの業務を引き継ぐか」も同時に整理しておくとスムーズ
💡一言例文
「退職前に残りの有休を消化したいと考えています。
引き継ぎスケジュールはこのように考えていますが、ご確認いただけますか?」
事例⑤:同僚への伝え方でトラブルに
体験談
「上司より先に仲の良い同僚に話してしまったら、
噂が広がってしまって、上司から注意を受けました…。」
(20代・外来)
回避ポイント
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退職の話は上司へ最優先で報告
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同僚には正式に承認された後に話す
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SNSでの投稿もタイミングに注意(内定先が決まる前は特に)
まとめ:トラブルを防ぐ3原則
2️⃣ 直属の上司にまず伝える
3️⃣ 書面・記録を残す
これだけで、ほとんどのトラブルは未然に防げます。
退職は“逃げ”ではなく、“次のステップ”。
焦らず、丁寧に進めていきましょう!
リストを書くのにいいもの見つけました!
裏表使えるので、退職チェックリストは内側にして仕事中も使える優れもの。
普通に、普段の仕事でもメモとして使えるのでオススメです✨
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